宇宙飛行の心血管への影響

今回は、宇宙飛行が循環器系の健康へ与える影響について調べたEuropean Journal of Preventive Cardiologyの『How spaceflight challenges human cardiovascular health(11 February 2022)を紹介します。

宇宙飛行では、無重力状態により頭部への体液の移動によるspaceflight-associated neuro-ocular syndrome(SANS;宇宙飛行関連神経眼症候群)、頭蓋内圧亢進、頸静脈血栓症といった健康問題が起こることが知られています。本研究では、循環器系の健康に与える影響について、より詳細な調査を行っています。今回得られた知見では、頸動脈の内膜肥厚、細胞内液の増加、心拍出量の増加と心電図変化、起立性調節障害、末梢血管抵抗の低下、静脈血栓症の増加が観察されたそうです。

European Journal of Preventive Cardiology

今後の宇宙開発や民間の宇宙旅行では、より高齢な方が宇宙へ行く機会が増えることが予想されることから、循環器系の疾患の予防が重要な課題になるそうです。宇宙へ行っている間も多くの危機を乗り越える必要がありますが、地球へ帰還後も血栓形成や動脈硬化、心臓の萎縮など心血管リスクの管理が大切になりますね。

大濠内科

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です