心不全療養指導士勉強ノート_冠動脈の走行
第6回目は、冠動脈の走行についてです
冠状動脈は左右にあり、3つに分類されています。
左冠動脈は、心臓の前面を走る左前下行枝(LAD)と、心臓の左横へ走る左回旋枝(LCX)に分かれます。
右冠動脈(RCA)は、心臓の右から心臓の下面へ走行します。冠動脈は、心臓を栄養する終動脈(=細動脈で吻合をもたない血管)です。
心臓自身を栄養するために、心拍出量3-5L/分のうち約1/20(250mL/分)の血液が冠動脈へ流れています。
心臓を養った大部分の血液は冠静脈洞に集まり、右心房に流入します。心筋梗塞などによって、冠動脈が狭くなり栄養されないと心筋に血液を送ることができず、心筋は酸素不足となり、心筋細胞が壊死を起こしてしまいます。
壊死を起こした心筋の量によって重症度が異なり、根元側の冠動脈が閉塞すると、障害を受ける心筋の範囲がより多くなり重症になります。
論文紹介
虚血性心疾患の予防のためには、脂質の管理が重要になります。健康診断などで必ず測定するHDLコレステロールの至適な管理目標値についての論文をご紹介します。HDL-Cは、低すぎても高すぎても心血管イベントのリスクが上昇するU字カーブを示します。そして、男性では、73mg/dl、女性では、93mg/dlで全死亡のリスクが低かったという研究結果でした(1)。
HDLコレステロールが低下する原因は、喫煙、肥満、運動不足などがあります。禁煙、減量、有酸素運動にてHDL-Cを上昇させられることが報告されています(2)。
【参考文献】
(1)Extreme high high-density lipoprotein cholesterol is paradoxically associated with high mortality in men and women: two prospective cohort studies. European Heart Journal, 38, 32, 21 August 2017, 2478–2486
(2)動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド 2023年版 日本動脈硬化学会
大濠内科 歯科医師 井上 麻乃