心不全療養指導士勉強ノート_心不全ステージ

:桜:第9回目は、心不全ステージについてです:ピカピカ:

心不全は悪くなって、少し良くなってを繰り返し、最初の状態にもどることはありません。

●リスク因子をもつが器質的心疾患がなく、心不全症候のない患者を
「ステージA 器質的心疾患のないリスクステージ」
●器質的心疾患を有するが、心不全症候のない患者を
「ステージ B 器質的心疾患のあるリスクステージ」
 ●器質的心疾患を有し,心不全症候を有する患者を既往も含め
「ステージ C 心不全ステージ」
●おおむね年間2回以上の心不全入院を繰り返し,有効性が確立しているすべての薬物治療・非薬物治療について治療ないしは治療が考慮されたにもかかわらずニューヨーク心臓協会(New York Heart Association; NYHA)心機能分類 III度より改善しない患者は
「ステージ D 治療抵抗性心不全ステージ」
補助人工心臓 や心臓移植などを含む特別の治療もしくは終末期ケアが適応となる場合があります。

ステージC(心不全ステージ)HFrEFでは、ファンタスティックフォーを導入します。HFpEFやHFmrEFは背景疾患に応じて導入します。
NYHA心機能分類 II度:ACE阻害薬(もしくはARNI)に加えてβ遮断薬、MRA,SGLT2i 導入
肺うっ血所見や全身浮腫など体液貯留による 症状が明らかである場合には、利尿薬
NYHA心機能分類 III度: ACE阻害薬(もしくはARNI)、β遮断薬、MRA,SGLT2i (必要に応じて利尿薬)
NYHA心機能分類 IV度:入院治療。カテコラミン、 PDEIII阻害薬、利尿薬、カルペリチドなどの非経口投与を行い、状態の安定化を図る.状態の安定化が得られたなら ACE阻害薬,利尿薬,MRA,ジギタリスなどの経口心不全治療薬への切り替えを行い、さらにβ遮断薬導入を試みるようになっています。

論文紹介

心不全ステージAと心不全バイオマーカーの関係についての論文を紹介します。

従来の心不全ステージ分類では、ステージB(器質的心疾患のあるリスクステージ)と比較してリスクが低いと考えられているステージA( 器質的心疾患のないリスクステージ )に分類される中にもNT-proBNPやトロポニンなど心不全や心筋障害の血液バイオマーカーのみ上昇していることがあります。

この研究では、 NT-proBNPやトロポニンなど心不全バイオマーカー の上昇は、心エコー検査での心機能障害や器質的な異常がある心不全と同等かそれ以上の心不全発症リスクがあることが示されました。

特に糖尿病の罹病期間が長い場合や血糖コントロール不良の場合に NT-proBNPやトロポニンなど心不全や心筋障害の血液バイオマーカー の上昇がみられることが報告されており、心不全ステージAの段階から心不全発症リスクに応じた治療や予防を行っていくことが大切です。

【参考文献】
急性 ・ 慢性心不全診療ガイドライン 日本循環器学会
Reclassification of Pre-Heart Failure Stages Using Cardiac Biomarkers: The ARIC Study. J Am Coll Cardiol HF. 2023 Apr, 11 (4) 440–450
Subclinical Cardiovascular Disease in US Adults With and Without Diabetes. Journal of the American Heart Association. 2023;0:e029083

大濠内科 歯科医師 井上 麻乃

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