高血圧専門医試験

2023年9月15日から17日に第45回日本高血圧学会総会(大阪府立国際会議場)が開催され、その最終日に高血圧専門医試験を受験してきました。

試験形式・時間等
  「筆記試験」マークシート方式による多肢選択式問題、80問 105分
  「口頭試問」症例を見て設問に答えていただきます、1題4問 15分程度
 ※配点:筆記試験1問1点 計80点、口頭試問計40点、合計120点

日本高血圧学会HP_高血圧専門医試験

筆記試験では、高血圧の疫学、血圧測定と臨床評価、高血圧の管理および治療の基本方針、生活習慣、臓器障害を合併する高血圧、二次性高血圧、降圧療法などの設問が出題されました。高血圧は、血管・心臓・腎臓・内分泌・脳神経のそれぞれの要因があり、血圧が上昇している病態に応じた考察が必要とされていました。また、高血圧は、心疾患・動脈硬化・脳血管障害・腎障害など多臓器へ疾患を来たすためその管理も重要となります。併存疾患を考慮した降圧療法についても多領域の視点で選択することとなります。

口頭試問では、症例を見ながら、高血圧の管理についての治療方針を伝える形でした。まずは生活習慣の改善か薬物治療が必要なのか?生活習慣の取り組みについて、実際にどうしたら良いのかといった具体的な管理方法を問われました。

論文紹介

高血圧が現代人の寿命を最も縮めている

生まれつきの遺伝情報を使って、誰でも治療可能な健康要因を解明する70万人のゲノムによるリスク予測を行った大規模なゲノム研究(Nature medicine 2020)の結果を紹介します。集めた遺伝情報からゲノムと病気の発症との関連について「ポリジェニック・リスク・スコア (PRS)」という数値が導き出され、個人のゲノム情報から将来の病気の発症を予測しています。日本人では、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧が上位3つで欧州を加えるとそこに体重も入るという結果でした。

高血圧専門医試験へ向けた試験勉強は、高血圧について広く、深く学ぶ良いきっかけとなりました。

(参照文献)Trans-biobank analysis with 676,000 individuals elucidates the association of polygenic risk scores of complex traits with human lifespan. Nat Med. 2020 Apr;26(4):542-548.

大濠内科

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